ニュースや広報文、履歴書、式典案内などでよく見かける「受賞」と「授賞」。どちらも「じゅしょう」と読み、どちらにも「賞」という字が含まれるため、何となく同じ意味で使ってしまいがちな言葉です。
しかし、実際にはこの二つは立場が正反対です。受賞は「賞を受けること」、授賞は「賞を授けること」を表します。つまり、主語が受け取る側なら「受賞」、主語が与える側なら「授賞」です。
たとえば、「山田さんが文学賞を受賞した」は自然です。山田さんは賞を受け取る側だからです。一方、「選考委員会が文学賞を授賞した」と言えば、選考委員会が賞を与える側であることを表します。さらに、式典名としては「受賞式」ではなく「授賞式」が一般的です。なぜなら、式典は受賞者が勝手に賞を受け取る場ではなく、主催者や授賞機関が賞を授ける場だからです。
この違いを理解していないと、文章の主語と動作の向きがずれてしまいます。特に、企業のプレスリリース、学校・自治体の表彰案内、プロフィール文、履歴書、推薦文、ニュース記事などでは、言葉の選び方ひとつで文章の信頼感が変わります。「受賞歴」と書くべきところを「授賞歴」としてしまうと、本人が賞を与えた側のように読めてしまう場合があります。反対に、「授賞式」を「受賞式」と書くと、正式な式典名としてやや不安定な印象を与えることがあります。
この記事では、「受賞」と「授賞」の違いを、意味・使う主体・典型表現・誤用しやすい場面・実践的な使い分けまで掘り下げて解説します。読み終えるころには、「受賞者」「授賞式」「受賞歴」「授賞理由」などの表現を、場面に応じて迷わず使い分けられるようになるはずです。
結論:「受賞」は賞を受けること、「授賞」は賞を授けること
最初に結論を明確にしておきましょう。「受賞」と「授賞」の違いは、賞に対してどちら側の立場にいるかで決まります。
- 受賞:賞を受けること。受賞者・受賞作・受賞歴など、賞をもらう人や作品の側から使う。
- 授賞:賞を授けること。授賞式・授賞理由・授賞対象など、賞を与える主催者や制度の側から使う。
この二つを一言で分けるなら、「受賞」はもらう側の言葉、「授賞」は与える側の言葉です。
たとえば、次のように考えるとわかりやすくなります。
- 作家が文学賞を受賞する。
- 映画が最優秀作品賞を受賞する。
- 財団が研究者に賞を授賞する。
- 主催団体が授賞式を開催する。
したがって、自分や自社、作品、チームなどが賞をもらったことを伝えるなら「受賞」が基本です。一方、賞を選び、与え、式典を開く側の行為を表すなら「授賞」を使います。
特に重要なのは、「授賞」は日常会話ではあまり単独で使われず、「授賞式」「授賞理由」「授賞対象」「授賞機関」のような決まった言い回しで使われることが多い点です。普段の文章では「受賞」のほうが圧倒的に出番が多く、「授賞」は制度・式典・選考側の文脈で使う言葉だと押さえておくと、誤用をかなり防げます。
1. 「受賞」の意味:賞を受ける側から見た言葉

「受賞」の「受」は、受けることを表します。つまり「受賞」とは、賞を受けること、賞をもらうことです。主体になるのは、賞を与える側ではなく、賞を受け取る人・団体・作品・活動です。
たとえば、次のような表現はすべて「受賞」が自然です。
- 小説家が文学賞を受賞した。
- 映画が国際映画祭でグランプリを受賞した。
- 研究チームが優秀論文賞を受賞した。
- 企業の取り組みが地域貢献賞を受賞した。
- プロフィールに受賞歴を記載する。
このように、「受賞」は賞を得た事実を伝える言葉です。本人の努力、作品の完成度、活動の社会的価値などが評価され、何らかの賞という形で認められたときに使います。
「受賞者」「受賞作」「受賞歴」は受け取る側を表す
「受賞」は、さまざまな名詞と結びついて使われます。代表的なのが「受賞者」「受賞作」「受賞歴」です。
- 受賞者:賞を受けた人。
- 受賞作:賞を受けた作品。
- 受賞歴:過去に賞を受けた経歴。
- 受賞コメント:賞を受けた人が述べる感想やあいさつ。
- 受賞記念:賞を受けたことを記念すること。
これらはいずれも、賞を受けた側に焦点があります。たとえば「受賞者一覧」は、賞を受けた人たちの一覧です。「授賞者一覧」と書くと、賞を授けた人たちの一覧のように見えてしまい、意味が変わってしまいます。
「賞を受賞する」は重複表現なのか
「受賞」はすでに「賞を受ける」という意味を含むため、「賞を受賞する」は重複表現ではないかと気になる人もいるかもしれません。厳密に言えば、「賞を受ける」と言えば十分な場面もあります。しかし実際の文章では、「最優秀賞を受賞」「新人賞を受賞」「〇〇賞を受賞」のような形は広く使われています。
大切なのは、何でも機械的に避けることではありません。「最優秀賞を受賞しました」は自然で、受けた賞の名称もはっきりします。一方で、「賞を受賞しました」だけだと、やや重く感じられる場合があります。その場合は「賞を受けました」「表彰されました」「〇〇賞をいただきました」などに言い換えるとすっきりします。
受賞は「評価された結果」を表す
受賞という言葉には、単に物をもらう以上の意味があります。賞は、努力・成果・作品・活動・功績などが評価された結果として与えられるものです。そのため「受賞した」と聞くと、そこには何らかの基準や審査、社会的な承認があったことが暗示されます。
ただし、受賞したからといって、必ずしもその人のすべてが優れているという意味にはなりません。評価されたのは、特定の作品、活動、研究、実績、功績などです。賞の理由を正確に書くには、「実績」「業績」「功績」の違いも意識すると、受賞理由の表現がより精密になります。
2. 「授賞」の意味:賞を授ける側から見た言葉

「授賞」の「授」は、授けること、与えることを表します。つまり「授賞」とは、賞を授けることです。主体になるのは、賞を受ける人ではなく、賞を与える機関・団体・主催者・選考委員会などです。
たとえば、次のような表現で使われます。
- 財団が若手研究者に賞を授賞する。
- 選考委員会が授賞理由を発表する。
- 主催者が授賞式を開催する。
- 今年度の授賞対象を決定する。
- 学会が優秀論文賞の授賞論文を公表する。
「授賞」は、賞を与える側の制度的・公式的な動きを表す言葉です。したがって、日常会話で「私は賞を授賞しました」とは言いません。それでは「私が誰かに賞を与えた」という意味になってしまいます。本人が賞をもらったなら、「私は賞を受賞しました」と書くのが正しい使い方です。
「授賞式」はなぜ「受賞式」ではないのか
最も混同されやすいのが「授賞式」と「受賞式」です。一般的に、賞を正式に与える式典は授賞式と呼びます。式典の中心的な行為は、主催者が受賞者に賞状・トロフィー・賞金などを授けることだからです。
もちろん、受賞者の立場から見れば「賞を受ける式」ではあります。しかし、式典名としては、制度や主催者の側から見た「授賞式」が定着しています。そのため、公式案内、ニュース、プログラム、式次第、招待状などでは「授賞式」と書くのが無難です。
一方で、「受賞記念式典」「受賞祝賀会」「受賞報告会」のような表現は自然です。これらは、賞を授ける公式の場ではなく、賞を受けたことを記念したり報告したりする場だからです。つまり、式典の性格によって言葉が変わります。
「授賞理由」は選ぶ側の説明、「受賞理由」はもらう側から見た理由
「授賞理由」と「受賞理由」も混同しやすい表現です。一般的には、選考委員会や主催者が「なぜその人・作品に賞を授けるのか」を説明する場合、授賞理由が自然です。
たとえば、文学賞の公式ページで「授賞理由」とあれば、それは選考側が賞を与える根拠を述べた文章です。一方、「受賞理由」と書けば、受賞者がなぜ賞を受けたのかを説明する一般的な言い方になります。意味は近いものの、文章の視点が異なります。
- 授賞理由:賞を与える側が示す理由。
- 受賞理由:賞を受けた理由を一般的に説明する表現。
公式性の高い賞のページ、学会賞、財団賞、文学賞、芸術賞などでは「授賞理由」がよく使われます。企業紹介やプロフィール文では「〇〇の功績により受賞」のように書くほうが自然です。
「授賞」はやや硬い言葉である
「授賞」は「受賞」よりも硬く、制度的な響きを持つ言葉です。そのため、友人同士の会話で「昨日、授賞したんだ」と言うことはほとんどありません。一般的な会話では「賞をもらった」「受賞した」で十分です。
反対に、主催者側の文書では「授賞」がふさわしい場面があります。「授賞式を開催します」「授賞対象を決定しました」「授賞理由を公表します」といった表現は、公式文書らしい端正な印象を与えます。
3. 「受賞」と「授賞」は同じ出来事を別の側から見た言葉

「受賞」と「授賞」は、まったく別々の出来事を表しているわけではありません。多くの場合、同じ賞に関する出来事を、反対側から見ています。
たとえば、ある研究者が学術賞をもらったとします。このとき、研究者の側から見れば「学術賞を受賞した」です。一方、学会の側から見れば「学会が研究者に学術賞を授賞した」です。同じ出来事でも、見る位置が変われば使う言葉も変わるのです。
主語で判断すると間違えにくい
使い分けに迷ったときは、まず主語を確認します。
- 主語が賞をもらう人・団体・作品なら「受賞」。
- 主語が賞を与える団体・機関・主催者なら「授賞」。
たとえば、「A社は環境大賞を受賞した」は自然です。A社は賞を受ける側だからです。ところが、「A社は環境大賞を授賞した」と書くと、A社が誰かに環境大賞を与えたように読めます。もしA社が賞の主催者であれば正しい可能性もありますが、A社が受け取った側なら誤用になります。
このように、「受賞」と「授賞」は音が同じでも、文の主語を変えてしまうほど意味が違います。特に、プロフィールや広報文では「誰が賞を受けたのか」「誰が賞を与えたのか」を明確にすることが大切です。
動作の向きは「内向き」と「外向き」で考える
もう一つの考え方は、賞の動く向きです。
- 受賞:賞が自分・自社・作品のほうへ入ってくる。
- 授賞:賞を主催者側から相手へ渡す。
「受」は受け取る方向、「授」は授ける方向です。漢字の意味を押さえると、読みが同じでも混乱しにくくなります。
「受章」「授章」との違いにも注意する
「受賞」と似た言葉に「受章」があります。「受章」は、勲章・褒章などの章を受けることです。文化勲章、旭日章、紫綬褒章などについては、「受賞」ではなく「受章」を使うのが一般的です。
- 文学賞を受ける → 受賞
- 映画賞を受ける → 受賞
- 文化勲章を受ける → 受章
- 紫綬褒章を受ける → 受章
同じ「じゅしょう」でも、賞を受けるなら「受賞」、勲章や褒章を受けるなら「受章」です。さらに、勲章を与える側の行為は「授章」と表されます。一般的な賞の文脈では「受賞・授賞」、栄典や勲章の文脈では「受章・授章」と覚えておくと整理しやすいでしょう。
【徹底比較】「受賞」と「授賞」の違いが一目でわかる比較表

ここまでの内容を、意味・主体・使う場面・典型表現の観点から整理します。最も重要なのは、「賞を受ける側か、賞を与える側か」という視点です。
| 項目 | 受賞 | 授賞 |
|---|---|---|
| 読み方 | じゅしょう | じゅしょう |
| 基本の意味 | 賞を受けること | 賞を授けること |
| 立場 | もらう側・評価される側 | 与える側・主催する側 |
| 主語になりやすいもの | 人、作品、企業、団体、研究、活動 | 財団、学会、主催者、選考委員会、授賞機関 |
| 代表的な表現 | 受賞者、受賞作、受賞歴、受賞コメント、受賞記念 | 授賞式、授賞理由、授賞対象、授賞論文、授賞機関 |
| 例文 | 彼女は新人賞を受賞した。 | 財団は研究者に賞を授賞した。 |
| 式典名として自然な形 | 受賞記念式典、受賞祝賀会、受賞報告会 | 授賞式 |
| 文章の印象 | 一般的で使いやすい | 公式・制度的・やや硬い |
| 誤用しやすい点 | 「受賞式」と書いてしまう | 「授賞歴」「授賞者」を受け取る側の意味で使ってしまう |
4. よくある誤用と正しい言い換え

「受賞」と「授賞」は、音が同じなので変換ミスが起きやすい言葉です。ここでは、実際の文章で間違えやすい例を取り上げます。
誤用1:「授賞歴」と書いてしまう
自分や企業、作品が過去に受けた賞の一覧は「受賞歴」です。「授賞歴」と書くと、その人や団体が過去に賞を与えた歴史のように読めてしまいます。
- 誤:彼の授賞歴を紹介します。
- 正:彼の受賞歴を紹介します。
プロフィール、ポートフォリオ、履歴書、会社案内などでは特に注意が必要です。本人が賞を受けたことを示すなら、必ず「受賞歴」とします。
誤用2:「受賞式」と書いてしまう
賞を正式に授ける式典は、一般に「授賞式」と書きます。
- 誤:ノーベル賞の受賞式に出席する。
- 正:ノーベル賞の授賞式に出席する。
ただし、受賞した人を祝うための集まりなら「受賞祝賀会」「受賞記念式典」と書けます。公式に賞を渡す場なのか、受けたことを祝う場なのかで使い分けましょう。
誤用3:「当社が〇〇賞を授賞しました」と書いてしまう
企業の広報文でよく起こるのがこの誤りです。会社が賞をもらった場合は「受賞」です。
- 誤:当社は地域貢献賞を授賞しました。
- 正:当社は地域貢献賞を受賞しました。
「授賞しました」と書くと、当社が誰かに賞を与えた側のように見えます。自社が評価されたことを伝えるなら「受賞しました」と書きます。
誤用4:「受賞理由」と「授賞理由」を場面に関係なく使う
「受賞理由」も「授賞理由」も意味が通じる場面はありますが、公式な選考理由として書くなら「授賞理由」が自然です。
- 主催者側:授賞理由を発表する。
- 紹介文:彼が受賞した理由を説明する。
つまり、選考委員会や主催団体の文書では「授賞理由」、一般的な説明や紹介文では「受賞理由」「受賞の理由」「受賞した理由」とすると自然です。
5. 場面別に見る「受賞」と「授賞」の使い分け

ここからは、実際の文章でどちらを使うべきかを場面別に見ていきます。言葉の定義だけでなく、文章の目的に合わせて選べるようになることが大切です。
履歴書・プロフィール・ポートフォリオでは「受賞」
自分が受けた賞を書く場合は「受賞」です。
- 2024年 〇〇デザイン賞 受賞
- 第10回〇〇コンテスト 優秀賞受賞
- 主な受賞歴:〇〇賞、△△賞
この場面で「授賞」と書くことはありません。履歴書やプロフィールで「授賞歴」と書いてしまうと、言葉の基本的な使い分けを誤っている印象を与えるため注意しましょう。
企業のプレスリリースでは「受賞」と「授賞式」を使い分ける
企業が賞をもらった事実を伝える見出しでは「受賞」を使います。
- 当社サービスが〇〇アワードを受賞しました。
- 環境への取り組みが高く評価され、優秀賞を受賞しました。
一方で、式典について触れる場合は「授賞式」が自然です。
- 授賞式は5月10日に都内で開催されました。
- 代表者が授賞式に出席し、賞状を受け取りました。
同じプレスリリースの中でも、「受賞」と「授賞式」が同時に出てくることは珍しくありません。賞をもらった事実は「受賞」、賞を授ける式は「授賞式」と整理します。
学会・財団・主催者側の文書では「授賞」が出てくる
賞を運営する側の文書では、「授賞」がよく使われます。
- 本賞は、優れた研究成果を挙げた若手研究者に授賞します。
- 選考委員会は、以下の理由により本作品を授賞対象としました。
- 授賞式は来月開催予定です。
この場合、主語は賞を与える側です。受賞者本人の文章ではなく、主催者や選考側の文章だと考えるとわかりやすいでしょう。
ニュース記事では「受賞者」と「授賞式」が並ぶ
ニュースでは、「受賞者」と「授賞式」が同じ記事に登場することがあります。
たとえば、「今年の〇〇賞の受賞者が発表され、授賞式は来月行われる」という文では、受賞者は賞を受ける人、授賞式は賞を授ける式典です。二つの語が近くに並んでいても、それぞれの視点は異なります。
このような文章を読むときは、「人・作品に焦点があるのか」「主催者・式典に焦点があるのか」を見ると理解しやすくなります。
6. 実践:「受賞」と「授賞」を迷わず使い分ける4ステップ
ここでは、実際に文章を書くときに使える実践ステップを紹介します。難しく考える必要はありません。次の順番で確認すれば、多くの誤用は避けられます。
◆ ステップ1:主語が「もらう側」か「与える側」かを確認する
まず、文の主語を見ます。主語が賞を受ける人・作品・企業なら「受賞」です。主語が賞を与える団体・主催者・財団なら「授賞」です。
- 彼女が賞を受ける → 彼女が受賞する。
- 財団が賞を与える → 財団が授賞する。
この確認だけで、基本的な使い分けはほぼ判断できます。
◆ ステップ2:「歴」「者」「作」が付くなら原則として「受賞」
「受賞歴」「受賞者」「受賞作」は、いずれも受け取る側を表す言葉です。自分や作品、企業が賞を受けたことを書くなら「受賞」を使います。
- 受賞歴を掲載する。
- 受賞者を発表する。
- 受賞作を展示する。
「授賞歴」「授賞作」は一般的な表現としては不自然になりやすいので注意しましょう。ただし、「授賞対象作品」「授賞論文」のように、賞を与える側が対象を示す文脈では「授賞」が使われることがあります。
◆ ステップ3:「式」「理由」「対象」が付く場合は視点を確認する
「授賞式」「授賞理由」「授賞対象」は、主催者側の公式文書でよく使われます。一方、「受賞理由」という表現も、一般説明としては使えます。
- 公式な式典名 → 授賞式
- 主催者が示す理由 → 授賞理由
- 一般的に受けた理由を説明 → 受賞理由、受賞した理由
迷ったときは、「賞を与える側の視点で書いているか」を確認しましょう。与える側なら「授賞」、受けた事実を説明するなら「受賞」です。
◆ ステップ4:栄典・勲章なら「受章」「授章」を検討する
最後に、対象が一般的な賞なのか、勲章・褒章なのかを確認します。文学賞、映画賞、デザイン賞、学会賞などは「受賞」です。一方、文化勲章や紫綬褒章などは「受章」と書くのが一般的です。
- 〇〇賞を受賞
- 文化勲章を受章
- 紫綬褒章を受章
「受賞」と「受章」は読みが同じため、ニュースやプロフィールで特に間違えやすい言葉です。賞なのか、章なのかを確認する習慣を持つと、文章の精度が上がります。
◆ 実践の要点:迷ったら「賞の流れ」を見る
最終的には、賞がどちらへ動いているかを見れば判断できます。賞が相手から自分へ来るなら「受賞」。自分や主催者から相手へ渡すなら「授賞」。この流れを意識するだけで、同音異義語の混乱は大きく減ります。
「受賞」と「授賞」に関するよくある質問(FAQ)
最後に、「受賞」と「授賞」の使い分けで特に迷いやすい疑問を整理します。
Q1:「受賞式」と「授賞式」はどちらが正しいですか?
A:賞を正式に授ける式典を指すなら、一般的には「授賞式」が正しい表現です。式典は主催者が受賞者に賞を授ける場だからです。一方、受賞したことを祝う会であれば「受賞祝賀会」「受賞記念式典」「受賞報告会」などの表現が自然です。
Q2:「受賞者」と「授賞者」の違いは何ですか?
A:「受賞者」は賞を受けた人です。一般的に使われるのはこちらです。「授賞者」は、字義どおりに考えれば賞を授ける人や機関を指し得ますが、日常的にはあまり使われません。賞をもらった人を表すなら「受賞者」と書きましょう。
Q3:「授賞理由」と「受賞理由」はどちらを使えばよいですか?
A:主催者や選考委員会が「なぜこの人・作品に賞を授けるのか」を述べる公式文では「授賞理由」が自然です。一方、一般的な紹介文で「なぜ受賞したのか」を説明するなら「受賞理由」や「受賞した理由」でも構いません。公式性の高い選考理由なら「授賞理由」と覚えておくとよいでしょう。
Q4:履歴書やプロフィールには「受賞歴」と「授賞歴」のどちらを書きますか?
A:自分が賞を受けた経歴を書くなら「受賞歴」です。「授賞歴」と書くと、自分が誰かに賞を授けた経歴のように読めてしまいます。履歴書、プロフィール、ポートフォリオ、会社紹介では「受賞歴」を使いましょう。
Q5:「受賞」と「受章」はどう違いますか?
A:「受賞」は賞を受けること、「受章」は勲章や褒章などの章を受けることです。文学賞や映画賞なら「受賞」、文化勲章や紫綬褒章なら「受章」と書きます。同じ「じゅしょう」でも対象が違うため、ニュースや経歴を書くときは注意が必要です。
まとめ

「受賞」と「授賞」の違いは、賞を受ける側から見るか、賞を授ける側から見るかにあります。
- 受賞:賞を受けること。受賞者、受賞作、受賞歴、受賞コメントなど、賞をもらう側に使う。
- 授賞:賞を授けること。授賞式、授賞理由、授賞対象、授賞機関など、賞を与える側に使う。
最も実用的な判断基準は、主語を見ることです。人・作品・企業・団体が賞をもらうなら「受賞」。財団・学会・選考委員会・主催者が賞を与えるなら「授賞」です。
また、式典名としては「授賞式」が一般的です。受賞者を祝う場なら「受賞祝賀会」「受賞記念式典」と言えますが、公式に賞を授ける場なら「授賞式」と書くのが自然です。
さらに、勲章や褒章の文脈では「受賞」ではなく「受章」を使う点にも注意が必要です。文学賞や映画賞は受賞、文化勲章や紫綬褒章は受章。この区別まで押さえておくと、ニュース記事、プロフィール、広報文、式典案内などでも正確な表現ができます。
「受賞」と「授賞」は、読みが同じで見た目も似ています。しかし、表している立場は正反対です。賞が自分のほうへ来るなら「受賞」、自分や主催者が相手へ授けるなら「授賞」。この一点を押さえるだけで、文章の意味はぐっと明確になり、公式な場面でも信頼される言葉遣いになります。
参考リンク
-
宮地裕日本語研究基金 受賞者|国立国語研究所
→ 国立国語研究所による学術奨励賞の受賞者紹介ページです。「受賞者」「授賞理由」「授賞式」が同じ文脈で使われており、受ける側と授ける側の表現の違いを実例として確認できます。 -
日本語学会論文賞|日本語学会
→ 日本語学会の論文賞に関するページです。「授賞論文」「授賞理由」「受賞論文」など、学術分野での賞に関する表現が具体的に示されており、公式文書での使い分けを学ぶ参考になります。 -
勲章・褒章制度の概要|内閣府
→ 勲章・褒章の制度について説明した内閣府の公式ページです。「受賞」と混同しやすい「受章」や、勲章を「授与」する文脈を確認でき、賞と栄典の違いを理解する助けになります。
