「サービスエリア」「サラリーマン」「リモコン」。
これらは普段、当たり前のように使われている言葉ですが、実は日本で独自に生まれた「和製英語」です。
一方、「テーブル」「コンピューター」「テレビ」のように、英語がそのまま日本で使われている言葉もあります。
これらすべてを「カタカナ英語」とひとくくりにしてしまいがちですが、実はその成り立ちには決定的な違いがあります。
この記事では、両者の違いを明確にするとともに、それぞれの言葉が生まれた背景や、知っておきたい豆知識までを徹底解説します。
結論:この一言で違いがわかる!
結論から言うと、両者の最も大きな違いは、「日本で独自に作られた言葉かどうか」です。
- 『和製英語』:英語の単語を組み合わせて、日本で独自に作られた言葉。英語圏では通じないことが多い。
- 『カタカナ英語』:英語をそのままカタカナ表記した言葉。英語圏でも意味が通じる。
この違いを念頭に置いて、それぞれの言葉が持つ深い意味を掘り下げていきましょう。
1. 和製英語:日本で独自に生まれた「進化」と「創造」の言葉


和製英語は、英語の単語を材料にして日本で新しく作られた言葉です。
英語の知識がないままに作られたものや、日本語の表現を英語に置き換えたもの、あるいは元の英語が変化してしまったものなど、その誕生背景は多岐にわたります。
日本人の生活や文化に根ざしているため、非常に便利で浸透していますが、その多くは海外では通用しません。
1-1. 和製英語の代表的な例とその背景
和製英語は私たちの生活のいたるところに存在します。代表的な例をいくつか見てみましょう。
-
リモコン (remote control)
本来の英語では “remote control” が正式名称ですが、日本ではこれを短縮して「リモコン」と呼ぶようになりました。これは英語圏でも通じる短縮形ではありません。
-
サラリーマン (salaried man)
英語圏では、給与所得者を指す言葉として “salaried man” は使われません。代わりに “office worker” や “company employee” といった表現が一般的です。
-
OL (office lady)
これもまた和製英語の代表例です。「オフィスレディー」という言葉は、英語圏ではまったく通じません。代わりに “female office worker” と表現します。
-
コンセント (concentric plug)
「コンセント」は、英語の「concentric plug(同心円状のプラグ)」が語源とされていますが、海外では単に “outlet” や “socket” と呼ばれます。
-
サービスエリア (service area)
これも日本独自の高速道路施設を指す言葉で、海外では “rest area” や “service plaza” などが使われます。
和製英語は、日本独自の文化や生活様式に合わせて言葉を「創造」してきた結果であり、日本語の表現力を豊かにする役割も果たしているのです。
2. カタカナ英語:外来語として「輸入」された言葉

カタカナ英語は、英語がそのまま日本語に取り入れられた言葉です。
主に、日本に存在しない概念や文化、技術を説明するために使われます。
外来語として定着しているため、多くの場合、英語圏でも意味が通じます。
2-1. カタカナ英語の代表的な例とその背景
カタカナ英語は、海外からの新しい文化や技術とともに日本にやってきました。
-
テーブル (table)
「table」は英語でも同じ意味で使われます。日本には「卓」や「机」といった既存の言葉がありますが、洋風の食事台を区別するために「テーブル」が使われるようになりました。
-
テレビ (television)
「television」を短縮して「テレビ」と呼びますが、これは英語圏でも同じように短縮されます。
-
コンピューター (computer)
日本にない概念だったため、そのまま「computer」がカタカナで定着しました。
-
アイスクリーム (ice cream)
海外の食べ物としてそのまま日本語に取り入れられました。
このように、カタカナ英語は、海外との文化交流の歴史を物語る言葉と言えるでしょう。
3. シーン別!迷わない使い分け方と注意点

和製英語とカタカナ英語の大きな違いは、「海外で通用するかどうか」です。
この点を意識することで、誤解を避けることができます。
NG例:
海外旅行で「Do you know this service area?」(このサービスエリアを知っていますか?)と尋ねる。
→ 相手には通じません。代わりに「Do you know this rest area?」などと尋ねるのが正解です。
NG例:
外国人に「I am a salaried man.」(私はサラリーマンです。)と自己紹介する。
→ 相手には通じません。代わりに「I am an office worker.」と自己紹介しましょう。
また、最近では和製英語に由来する言葉が、SNSなどで「ヘンな英語」として逆に海外に紹介され、楽しむ文化も生まれています。これも言葉の面白い進化と言えるでしょう。
4. さらに深掘り!和製英語とカタカナ英語の境界線

両者の間には、明確な線引きが難しい言葉も存在します。
それは、元の英語から意味がずれてしまったり、日本独自の文脈で使われるようになったりした言葉です。
4-1. 意味がずれた和製英語
-
テンション (tension)
英語の “tension” は「緊張」「張り詰め」といったネガティブな意味で使われることが多いです。しかし日本では「テンションが高い」のように「気分が高揚している」といったポジティブな意味で使われます。
-
ナイーブ (naive)
英語の “naive” は「世間知らず」「お人好し」といった未熟さを表すネガティブな意味で使われます。日本では「繊細」「デリケート」といったニュアンスで使われることが多く、本来の意味とは異なります。
これらの言葉は、元はカタカナ英語として入ってきたものが、日本独自の進化を遂げて和製英語になったと言えるでしょう。
4-2. 和製英語の面白さ:言葉の「創造性」
和製英語は、日本人の持つ「言葉を簡潔に、そしてわかりやすくする」という創造性から生まれています。
例えば、「フリーター」(free + arbeiter: ドイツ語)のように、英語以外の言葉を組み合わせる例もあります。
これは、日本語が持つ柔軟性と、外国語を積極的に取り入れてきた歴史を物語る、非常に興味深い現象です。
まとめ:和製英語とカタカナ英語の違いをマスターする

最後に、この記事で学んだポイントを簡潔にまとめます。
- 『和製英語』:
「日本で独自に作られた言葉」で、海外では通じない。 - 『カタカナ英語』:
「英語がそのまま入ってきた言葉」で、海外でも通じる。
両者を明確に区別することで、単に言葉の知識が増えるだけでなく、グローバルなコミュニケーションの誤解を防ぎ、より洗練された文章を書くことができるようになります。
普段何気なく使っているカタカナ言葉も、そのルーツを調べてみると、日本の歴史や文化が見えてくることがあります。ぜひ、身近な言葉の謎を解き明かしてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1: なぜ和製英語がこれほど多く生まれたのですか?
A1: 日本に新しい概念や技術が流入した際、それを説明するために英語の単語を組み合わせるのが最も効率的だったためです。また、日本語の音韻構造に合わせるために短縮されたり、独自のニュアンスを込めるために意味が変化したりしたことも一因です。
Q2: 和製英語は使わない方がいいですか?
A2: いいえ、日本語の文脈で使う分にはまったく問題ありません。むしろ、日本語を豊かにする重要な要素です。海外の人と話す際や、海外向けの文章を書く際に、和製英語を使わないように注意することが重要です。
Q3: 『アルバイト』は和製英語ですか?
A3: はい、和製英語です。ドイツ語の “Arbeit”(労働)が語源となっており、日本で「パートタイムの仕事」という意味で使われるようになりました。ドイツ語圏でも「アルバイト」という言葉は通じますが、日本では「パートタイム」というニュアンスで使われるため、広い意味で和製英語と見なされます。

